『2days トゥー・デイズ』ジョン・ハーツフェルド

キャラの緩さが味わいのクライム群像劇

2 days トゥー・デイズ

《公開年》1996《制作国》アメリカ
《あらすじ》ロサンゼルスに住むオリンピックのスキー選手ベッキー(テリー・ハッチャー)は、訪ねてきた浮気性の元夫・ロイ(ピーター・ホートン)と就寝中に、忍び込んだ殺し屋のリー(ジェームズ・スペイダー)と手伝いの元殺し屋ダズモ(ダニー・アイエロ)によってロイが射殺された。ベッキーが夫の愛人のヘルガ(シャリーズ・セロン)と裏で仕組んだ保険金目当ての契約殺人なのだが、ヘルガはリーと組んでいて後に保険金を奪う算段だった。
殺しの後、ダズモはリーにいきなり銃で撃たれ車ごと爆破されるが、防弾チョッキのお陰で命拾いして脱出し、近くの美術商アラン(グレッグ・クラットウェル)の邸宅に転がり込む。
アランは腎臓結石に苦しんでいて、女性秘書のスーザン(グレン・へドリー)はアランの異母姉で看護師のオードリー(マーシャ・メイスン)を呼ぶが、そこにダズモが現れる。元殺し屋のダズモは、今はピザ屋の店員で拳銃を向けながら、傲慢で嫌味なアランにもけなげに尽くすスーザンに同情した。
そこへスーザンに呼ばれたオードリーがやってきた。彼女は連絡を受ける前に墓地で出会った映画監督のテディ(ポール・マザースキー)を伴っていて、テディは今や落ち目で金もなく、絶望して母の墓前で拳銃自殺しようとしていたところを彼女に拾われたのだった。ダズモはアランを除く3人を人質にして逃走することにした。
一方、目覚めたベッキーは隣のロイの死体を見て慌てて外に飛び出し、出くわした警察官のアルヴィン(ジェフ・ダニエルズ)とウェス(エリック・ストルツ)に助けを求めた。二人は売春捜査課に所属しているが、若いウェスは殺人課刑事に憧れていて、捜査に乗り出そうとするがアルヴィンに止められる。
殺人課での事情聴取を終え警察を出たベッキーはヘルガに会う。殺しの金を要求されるが、予想外の時と場所で実行されたため、金は家の金庫にあり刑事がいるはずだという。リーが一人でベッキー宅に向かったがその後、ベッキーとヘルガが仲間割れして、ヘルガが撃たれベッキーは逃走した。
ベッキー宅に向かったリーは警官を殺害し金を手に入れるが、そこに事件に興味津々のウェスがやってくる。リーは咄嗟に警官を装うがそこへ瀕死のヘルガが現れ、リーは二人とも始末しようとして、逃げ出したヘルガは通りかかったダズモらの車に救われる。ヘルガを見守るテディとオードリーを残して、ダズモはスーザンと共にベッキー宅に向かった。
ベッキー宅ではダズモとリーの銃撃戦になり、リーはウェスを盾にして応戦し、ウェスを助けようと抱きかかえたダズモにリーが銃を向けた瞬間、追いかけてきたテディの銃がリーを倒しダズモは命を救われた。
リーが持っていた金はウェスの気遣いでダズモに渡され、ダズモはスーザンと共に、テディはオードリーと共に新たな人生を踏み出そうとしている。



《感想》元夫の保険金殺人を目論む女子スキー選手と彼の浮気相手の女が共謀して、冷酷非情な殺し屋と今はピザ屋の中年殺し屋を使って実行に移し、売春捜査課所属の若手刑事とベテラン刑事が事件に関わるが、それぞれが相棒と仲違いしてしまう。それ以外に、金持ちの美術商とその秘書、看護師、落ち目の映画監督が加わって、10人が複雑に絡み合っていくというクライムコメディ風の群像劇。
展開はやや強引な気がするが、キャラが立っていて役者がハマっているのがいい。冷酷で怪物的だが嫉妬深い殺し屋、人が良すぎて料理人向きの元殺し屋、メダルに手が届かずオリンピックが諦めきれない女子スキー選手、浮気相手から殺し屋に乗り換えた妖艶な美女、人生に絶望しながらも死に切れない映画監督、何事にも情の深い看護師、金持ちだが俗物で嫌味な美術商、美術商のイジメにあいながら健気な秘書、売春捜査より殺人捜査に憧れる若手刑事、仕事に忠実で子煩悩なベテラン刑事。加えて魅力的なアジア系マッサージ嬢も登場していずれもクセ者ばかり。
クールな殺し屋は『パルプ・フィクション』風、ダニー・アイエロがピザ屋というのは『ドゥ・ザ・ライト・シング』を思い起こさせ、どことなくオマージュの色合いもある。
冷酷な殺人事件のはずなのだが、緩めのキャラでどこか温かさと笑いが生まれ、人情ドラマのような味わいがある。B級映画の面白さに溢れている。

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投稿者: むさじー

映画選びのモットーは温故知新、共感第一、偏屈御免、です。感情を揺さぶられる、そんな映画との出会いがファン最大の喜びだと思っています。 「My Favorite Movies 1001」を目指します。