『ブレイブ・ロード 名もなき英雄』ジャン・ウルカイ

戦場で生まれた兵士と孤児の絆を描く

《公開年》2017《制作国》トルコ
《あらすじ》1950年6月、朝鮮戦争下の韓国で両親と暮らす少女ソラ(キム・ソル)は、爆撃の中を逃げ回っていた。
同じ頃、トルコのイスケンデルンでは、トルコ軍のスレイマン(イスマエル・ハシオグル)と友人のアリ(アリ・アタイ)が朝鮮戦争の後方支援のため、韓国に派遣されることになっていて、スレイマンの恋人ヌーランは動揺する。
同年10月、釜山に上陸したトルコ軍部隊は北上してクヌリに到着し、米軍団と連絡をとるためスレイマンらが米軍司令部に向かう途中、敵の攻撃を受けて車が爆破され、やむなく森の中を歩いた。
すると遭遇した無数の避難民の遺体の中に泣きじゃくる幼い少女がいて、それがソラだった。何も語らない少女を連れて司令部に着いたスレイマンらは、彼女を「アイラ」と名付けた。
トルコ軍部隊は韓国軍と共に移動するが、アイラはスレイマンから離れず、突然攻撃を受ける危険な中を一緒に移動し、次第に笑顔を見せるようになっていく。
ある時、格闘戦になって負傷し野戦病院で目を覚ましたスレイマンは、アイラを韓国に渡すよう説得されるが、お互いに離れ難い間柄になっていて、部隊に馴染んだアイラは駐屯地のマスコット的存在になっていた。
1951年、アイラはトルコ語を覚え、スレイマンをパパと呼ぶようになっていて、休暇で仲間と行った東京旅行にもアイラを連れて行き、写真を撮り思い出深い時間を過ごす
やがて駐屯地をマリリン・モンローが慰問に訪れるが、彼女の大ファンであるアリはその日、前線勤務を命じられていて、敵の狙撃を受けて命を落とす。
同年7月、任務について1年を迎え、周りの兵士が帰国する中、スレイマンはアイラと離れ難く任期の延長を希望し、恋人のヌーランらは失望した。
帰国の日が近づき、スレイマンはアイラをトルコに連れて行くことを望むが、叶えられることではなく、韓国の児童養護施設にアイラを送ることになる。
しかし施設で別れようとしても離れないアイラを見て連れ帰り、スレイマンはトランクにアイラを入れて帰国しようとするが、その計画は失敗した。
そしてスレイマンは、必ず帰ってくるとアイラに伝え、帰国の途につく。
帰国したスレイマンは、恋人だったヌーランの行方を探すが、彼女は別の男と婚約していて、失望したスレイマンは父に結婚相手の紹介を頼み、田舎で暮らす女性ニメットと結婚した。
その後、アイラの行方を捜索するが分からないまま時は過ぎ2002年、ドキュメンタリー番組のスタッフから、アイラ捜索を手伝いたいと申し出を受ける。
そして遂にアイラを探し当て、アイラは昔のスレイマンとの写真を見せると涙を流した。2010年、スレイマンは韓国に出向いてアイラに再会し、1951年に別れてから約60年を経て約束を果たすことができた。

《感想》舞台は戦場だが、内容はホノボノとして切ないヒューマンドラマである。
実話に基づくとしながら大胆に脚色し、ご都合主義満載で、展開に粗さは見られるものの、戦争の悲惨さにうまく笑いと涙を盛り込んでいる。
敵の銃弾は潜り抜け、こちらの弾は百発百中の見事さ。
休暇で訪れた“東京”はどこの国かと見紛うチープな作りに驚く。
いきなり47年も飛んで、太った主人公には昔の面影が全くなくて混乱する。
多少はアラもあり、リアリズムを無視したところもあるが、素直に心に響いてくるエンタメ系感涙映画だと思う。
朝鮮戦争にアメリカ側の支援としてトルコが参戦していたことを初めて知り、加えて戦争の最中、韓国の戦災孤児をトルコ軍が保護していたということに驚いた。
そしてエンディングの再会シーンには、実際のドキュメンタリー映像が流れ、正直泣かされる。
何よりアイラ(キム・ソル)がアイドル的可愛さで魅力に溢れている。
また、戦場でも自分を貫き通す“虫も殺さない男”スレイマンの優しさ、一途さには心動かされる。
ただ、戦地での別れから再会までの描き方が省略し過ぎ、急ぎ過ぎで、ややダイジェスト的展開になったことが惜しまれる。

※他作品には、右の「タイトル50音索引」「年代別分類」からお入りください。

投稿者: むさじー

名画座通いの昔からネット配信の現代まで、温故知新、共感第一、ジャンル無節操をモットーに選んでいます。 何度も、観る度に感動する映画は大切ですが、二度と観たくない衝撃に出会うのも楽しみです。

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