『テロ、ライブ』キム・ビョンウ

強引さと勢いで魅せるノンストップ・サスペンス

《公開年》2013《制作国》韓国
《あらすじ》国民的アナウンサーとして活躍していたが、不祥事でテレビ局からラジオ局に左遷され、妻とも離婚してしまったユン・ヨンファ(ハ・ジョンウ)は、朝の生放送の番組中に、マポ大橋を爆破するという脅迫電話を受ける。
イタズラと思って電話を切るが、その直後にマポ大橋が爆破される。
ヨンファはチャンスと考え、爆破テロの犯人とのやり取りを独占生中継して、スクープを入手することでテレビ局への返り咲きを狙う。
犯人は建設作業員を名乗っていて、30年前の橋の建設に関わり、2年前の世界首脳会議の要人が渡るための橋の補修工事の際、事故が起きて川に落ちた3人を、警察や救助隊はイベント準備を理由に救出しなかったと言い、金と大統領の謝罪を要求してきた。
上司の報道局長は金を払ってもそれ以上の要求を拒絶して、よりセンセーショナルな方向に、警察のテロ対策班主任は犯人を刺激せず対話を長引かせるよう求めるが、犯人からヨンファの耳のイヤホンに爆弾が仕掛けられていることを告げられ、犯人の言葉に従うしかなかった。
また、他局は割り込もうとヨンファの収賄事件を暴露する。それは大統領への批判をかわすため、大統領府と報道局長が仕組んだことだった。
大統領代理でスタジオに来た警察庁長官は殺され、2回目の橋の爆破、そしてテレビ局の隣のビルの爆破と迫ってくる。
倒れかかるビルの衝撃でスタジオは激しく揺れて傾き、スタッフは逃げ出す。
警察はテロ犯とされる建設作業員が既に死亡していることを知り、ヨンファを逮捕して、全てをヨンファのせいにする計画だと、ヨンファは大統領の秘書から知らされる。
その後犯人から電話があり、一人になったヨンファの前に現れた犯人はまだ若者で、犯人の持つ起爆装置を奪うべく二人は取っ組み合いになり、その中で建設作業員は既に死亡していて、犯人はその息子であることを知る。
窓の外に投げ出された犯人を救おうと、ヨンファは手を差し伸べたが、狙撃され犯人は落下してしまう。
その後見たテレビで元妻の死を知り、自分を逮捕するため警察が近づいてきたその時、ヨンファは残された起爆装置のスイッチを押し、ビルとともに静かに崩れ落ちていった。

《感想》舞台は生放送中のスタジオと、そこから見えるマポ大橋だけというワンシチュエーションで、加えてほぼリアルタイムという臨場感で展開し、緊張感が途切れないまま1時間半を走り切ってしまう。
その間は、ハ・ジョンウのほぼ一人舞台。次々に起こる予測不能の展開に、めまぐるしくその表情が変わる。
スクープして手柄を狙う仕事人の顔、人質を守ろうとする正義漢の顔、自らの命の危険に怯える恐怖の顔、元妻を心配する男の顔……その熱演が凄い。
イヤホン爆弾は今一つ説得力に欠けるとか、若者一人で出来る仕掛けじゃないとか、動機が弱すぎるとか、後から冷静に考えると無理が見えてくるのだが、観ている間は全く気にならず惹きこまれてしまう。
映画の雰囲気は『新幹線大爆破』に通じるものがある。テロ行為、復讐目的、ノンストップのスリリングな展開、そして筋書きの粗さも。
監督は当時33歳の新人。強引さと勢いが魅力になっている。

※他作品には、右の「タイトル50音索引」「年代別分類」からお入りください。

投稿者: むさじー

名画座通いの昔からネット配信の現代まで、温故知新、共感第一、ジャンル無節操をモットーに選んでいます。 何度も、観る度に感動する映画は大切ですが、二度と観たくない衝撃に出会うのも楽しみです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です