『黄金』ジョン・ヒューストン

欲を巡る味わい深い教訓映画

《公開年》1948《制作国》アメリカ
《あらすじ》1920年のメキシコの港町タンピコ。職にあぶれたアメリカ人二人、ダブス(ハンフリー・ボガード)とカーティン(ティム・ホルト)が出会い、老人の山師ハワード(ウォルター・ヒューストン)から金脈の話を聞き出して、三人は金を求めて山に向かった。
過酷なロバの旅を経て三人は金を掘り当てたが、それからというもの、ダブスは二人を疑いの目で見るようになる。
そこへ得体の知れないコディと名乗る男が金を求めて現れ仲間になるが、突如山賊に襲われ、コディは殺されてしまう。
やがて金は持参の袋一杯になり、三人は山を下りることになったが、途中インディアンの少年の命を助けたことから、ハワードは村の歓待を受けることになり、二人のみ山を下りた。
二人になって猜疑心は更に高まり、ダブスはカーティンに発砲して、砂金を一人占めにして山を下り、命を取り留めたものの傷ついたカーティンはインディアンに助けられた。
町に向かう途中、ダブスは山賊に襲われ刺殺されて砂金を奪われてしまい、それを山賊は単なる砂と思って、まき散らしてしまう。
町に戻り、ダブスの死と山賊の逮捕を聞いたハワードとカーティンは、事件の現場に向かい、残された空き袋を手に取って、「神か自然が仕掛けた壮大な冗談!」と二人して大笑いをする。
ハワードはインディアン村で余生を過ごすことにし、カーティンは亡くなったコディの家族の元に彼の遺品を届けようと旅立ってエンド。

《感想》生活困窮の強欲男、小心善良な流れ者、人生を達観した山師、大量の砂金を手に入れた三人の男の駆け引きが描かれる。
金探しに向かう前に山師が言う「黄金は人を変える。見つからなければ友情は続くが、見つけた後は……」。
大筋はそのセリフ通りの展開で、三人のドラマかと思いきや、脇キャラが次々に現れる。
利益便乗を狙う男、武器を狙う山賊、山師を命の恩人と崇めるインディアン。これらが三人の関係にさざ波を立てて、三人は攻撃するか調和をとるか迷い揺れて、起伏のあるドラマになっていく。
テーマは人間の欲と相互不信、結果は勧善懲悪で、欲深は身を滅ぼすという教訓が柱。
だがそんな道徳的テーマは差し置いても、うらぶれた町の貧しい暮らしの中で、生き延びんがために格闘する男たちの人間ドラマとして秀でているし、スリリングな展開は現在でも通じる面白さを持っている。
処刑とか殺し合いとか殺伐とした内容なのだが、エンディングはほのぼのとしていて、鑑賞後の印象は意外に清々しい。

※他作品には、右の「タイトル50音索引」「年代別分類」からお入りください。

投稿者: むさじー

名画座通いの昔からネット配信の現代まで、温故知新、共感第一、ジャンル無節操をモットーに選んでいます。 何度も、観る度に感動する映画は大切ですが、二度と観たくない衝撃に出会うのも楽しみです。

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