『ワイルドバンチ』サム・ペキンパー

暴力の時代終焉とアウトローの無常

《公開年》1969《制作国》アメリカ
《あらすじ》1913年のテキサスとメキシコの国境の町。パイク(ウィリアム・ホールデン)をリーダーとする強盗団が鉄道会社の金庫を襲うが、待ち伏せていた賞金稼ぎたちと壮絶な撃ち合いになる。
賞金稼ぎのリーダーは、パイクの昔の仲間で仮釈放中のソーントン(ロバート・ライアン)だった。
1か月以内にパイク一味を捕まえればソーントンの罪は帳消しになる約束で、国境を越えてメキシコに逃れたパイク一味を、ソーントンらは追う。
パイク一味の一人、エンジェルの故郷に着き、エンジェルの恋人テレサがマパッチ将軍の政府軍部隊に連れ去られたことを知り、駐屯地を訪れるが、マパッチの愛人になったテレサを見て、エンジェルは彼女を射殺してしまう。
そこでパイクは、マパッチから1万ドルの報酬で、アメリカ軍用列車から武器を奪う話を持ちかけられる。
列車強盗は成功し、武器と報酬を交換することになるが、マパッチの裏切りが予想されるので、小分けにして取引を進める。
ところが殺されたテレサの母親の密告で、エンジェルが武器の一部を先住民の反政府ゲリラに渡したことがばれ、エンジェルが捕まってしまう。
パイクたちは、仲間のエンジェルを助けるため、4人でマパッチの軍団に挑み、パイクたちは全員射殺されるが、同様にメキシコ政府軍を壊滅させた。
そこに到着したソーントンはパイクの死にショックを受け、賞金稼ぎたちとも別れ座り込んでいると、パイク一味の老人サイクスが現れ、サイクスの誘いで、メキシコ革命派のメンバーと共に荒野に去って行きエンド。

《感想》鉄道事務所襲撃で手に入れた袋を開けると中身は鉄クズで、この仕事で足を洗おうと思っていたパイクは言う「俺たちの時代は終わりだな」。
銃を持って闘った最後の時代、それは正義や悪を超えて、暴力によってしか生きられなかった時代でもある。
そんな時代の変化から取り残された無法者たちが、いかに笑い、いかに闘い死んでいったか、そんな生き様と滅びの美学が描かれる。
アリの群れにサソリを入れて火をつける子どもたちの残虐な遊びが描かれるが、ラスト、不敵な笑みを浮かべながら勝ち目のない闘いに挑む4人の男たちは、死に場所を求めてアリの群れに飛び込むサソリのようでもある。
本作は迫力ある銃撃戦で名高く、残虐な暴力描写、女性蔑視と思われるシーンは数多いが、同時に男たちの駆け引きの裏にある感情の起伏がさりげなく描かれ、バイオレンス&アクションだけの西部劇でもない。
特にパイクとソーントンの関係は微妙で、かつてパイクの仲間だったソーントンが今は追跡者になり、ソーントンに命を狙われながらもパイクは常に彼を気にかけている。
そして、パイクが銃撃戦の末に死にゆくとき、それまで終始疲れ気味だった表情が少し生き生きしているように見え、パイクの魂の叫びを受け止めたソーントンは、残された者の悲哀を味わうことになる。
二人だけに分かる思い、秘められた友情が切ない。
暴力の裏に、去りゆく時代と去りゆく者への鎮魂が込められ、哀愁が漂うペキンパー・ワールドだが、女性の描き方の粗さはやはり気になる。

※他作品には、右の「タイトル50音索引」「年代別分類」からお入りください。

投稿者: むさじー

名画座通いの昔からネット配信の現代まで、温故知新、共感第一、ジャンル無節操をモットーに選んでいます。 何度も、観る度に感動する映画は大切ですが、二度と観たくない衝撃に出会うのも楽しみです。

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