『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』オリオル・パウロ

このトリックと巧妙な展開はネタバレ厳禁なのだが。

《公開年》2016《制作国》スペイン
《あらすじ》若手起業家ドリア(マリオ・カサス)の部屋を、敏腕女性弁護士グッドマン(アナ・ワヘネル)が訪れる。“緊急事態”から約束の時間より3時間早く来たと言う。
ドリアは不倫相手の写真家ローラ(バルバラ・レニー)殺害の容疑者として起訴されていて、急いで策を練るためグッドマンはドリアから事の経緯を聞き出す。
ドリアは、ローラに呼ばれてホテルに行ったが、それは何者かに不倫を脅迫されたためで、部屋で待っていると自分は殴られて気を失い、ローラは殺害されていたと言う。
グッドマンの更なる追及に、ドリアは隠していた事件を話し出す。
それは3か月前、ローラと同乗した車で対向車と衝突事故を起こし、運転していた若者ダニエルが即死した。通りかかった地元の男に目撃されるが、何とかやり過ごし、ドリアはダニエルをトランクに入れて、事故車ごと湖に沈めた。
ローラは通りかかった初老の男トマス(ホセ・コロナド)にけん引されて、自宅で直してもらった。
ところが二人が殺したダニエルはトマスの息子だった。
ローラ殺害と、それ以前に起きた交通事故・死体遺棄事件はどう関係しているのか?
ドリアが事故を起こした車はスクラップ工場で廃車になったが、トマスは息子の失踪の日に出会った車がドリア所有の物と気付き、ドリアに近づくが相手にされない。
ドリアは、道で会った目撃者に脅迫されていて、待っていたホテルでのローラ殺害事件につながると話すが、それを聞いたグッドマンは「脅迫の話で事故の件をうやむやにしている」と指摘する。
更にグッドマンは、トマスの妻が件のホテル勤務のため、合鍵を使ってトマスが殺したのでは?との推理を話す。
息子を殺された父親の復讐という推理で、ローラ殺害を逃れるにはトマスを巻き込むしかないと進言するグッドマンにドリアは心を許し、湖の場所、更に死んでいなかったダニエルを生きたまま湖に沈めたことを告白する。
グッドマンはそれを聞いて、これまでの話をくつがえす説を話す。
「全て事件の主導はドリアではないか。その根拠に事件の後、ローラは罪にさいなまれ、ダニエルの両親の元を訪れて真実を話し、ドリアから金を引き出して、それを両親に渡そうとしていた。ホテルに呼び出し二人で自首しようと提案したが、保身に走るドリアに殺されたのだと。」
図星の推理を聞かされたドリアはローラ殺害を自供し、グッドマンの戦略に任せることを告げ、グッドマンは部屋を後にした。
しかし、グッドマンが置いていったペンは盗聴器、トマスが待つ部屋に入ったグッドマンが変装を解くと、それはトマスの妻だった。

《感想》容疑者ドリアの供述で進む前半では、ローラは“自分勝手で欲と保身に走る悪女”と思い込まされるが、信頼できそうな弁護士の誘導に乗って、ドリアの嘘の作り話がだんだんバレていく。
被害者の母親が弁護士に変装して、犯人の信頼を得られるように罠を仕掛け、その戦略に心を許した犯人が全てを白状するという展開が面白い。
供述過程の映像は嘘ばかりだが、それを映像で見せられると真実かのように思い込まされてしまう映画ならではのトリックである。
「約束の3時間前に来た」「トマスの妻は元女優で演技がうまい」というあたりが伏線なのだが、変装というのは意外だった。
それ以外に、いくつか車絡みの分かりやすい伏線を張り、後から思うと弁護士の正体をうっすら気付かせる仕掛けもあって、だんだん核心に迫っていくこの展開は巧妙である。
期待以上のサスペンス映画だった。

※他作品には、右の「タイトル50音索引」「年代別分類」からお入りください。

投稿者: むさじー

名画座通いの昔からネット配信の現代まで、温故知新、共感第一、ジャンル無節操をモットーに選んでいます。 何度も、観る度に感動する映画は大切ですが、二度と観たくない衝撃に出会うのも楽しみです。

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