『イミテーション・ゲーム / エニグマと天才数学者の秘密』

暗号解読に挑んだ孤高の天才の短い生涯を描く

《監督》モルテン・ティルドゥム《公開年》2014《制作国》英、米
《あらすじ》実在の数学者アラン・チューリングの悲劇的生涯を描いた伝記映画で、映画では少年時代、戦時中、終戦後のエピソードが交錯して描かれるが、このあらすじは時系列で記す。
1912年、幼少期から数学の天才だったが、他人とのコミュニケーションが苦手で、いじめに合う。そんな中で、早逝する親友クリストファーに出会い、同性愛の感情が芽生える。
第二次世界大戦下の1939年、若き天才数学者としてドイツ軍の暗号“エニグマ”を解読するチームの一員になったアラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)は、高慢、不器用な性格で仲間から孤立しがちだった。
ゲーム感覚で暗号解読に取り組み、苦難の末に機械を完成させる(クリストファーと命名)が、それを味方軍に知らせることは、解読したことを敵軍に悟られ、エニグマの変更の恐れがあると、秘密にする決断を下す。
防御する攻撃と、防御せず攻撃を受ける戦いを、彼の計算によって決め、その戦術によって戦績を上げていく。
しかし、同じようにドイツを敵とするロシアのスパイが紛れ込んでいることが分かるが、二重スパイの存在を自国のために利用するべく、ロシアに流す情報を選別する、スパイ操作のような役割も担ってしまう。
彼の秘密裡に“戦争を計算する”行為によって、やがて連合軍を勝利に導くことになった。
しかし終戦後の1951年、アランが同性愛者であることが発覚し警察に逮捕される。そして同性愛治療のホルモン療法(科学的去勢)を受けることになる。
同性愛として逮捕されたアランは刑事に問う「私は機械か、人間か?私は戦争犯罪者か、英雄か?」。
かつての恋人ジョーン(キーラ・ナイトレイ)は薬物療法で変わっていくアランに「あなたが普通だったら、絶対に今の私はいないし、今より良い世界は生まれなかった」と言う。
アランは、1954年に41歳の若さで自殺した。

《感想》暗号解読という戦争の裏側が舞台で、天才の孤独とセクシャル・マイノリティの孤独という主人公の内面に焦点を当て、かつ史実に沿うという姿勢なので、地味で淡白な印象を受ける。
それにしても当時は、同性愛が犯罪で病気、服役か投薬治療かを迫られていたというのは驚きだった。
チューリングのエニグマ解読に関する功績を、イギリス政府は50年以上に渡って秘密にしてきたが、「彼の功績がなければ、第二次世界大戦の歴史は変わっていた。エニグマの解読によって戦争終結が2年早まり、多くの命が救われた」と評価が改まり、彼の偉業を称えたという。
暗号解読の戦略エキスパート、孤高の天才、同性愛者という複雑なキャラを演じたベネディクト・カンバーバッチの迫真の演技には惹き込まれた。
不満を言うならば、伝記映画が持つ淡白さの故か、同性愛の主人公が女性に好意を持ちプロポーズして、再び別れ、犯罪者として逮捕されるまでの心の軌跡、苦悩のようなものが、やや描き込み不足かと感じた。

※他作品には、右の「タイトル50音索引」「年代別分類」からお入りください。

投稿者: むさじー

名画座通いの昔からネット配信の現代まで、温故知新、共感第一、ジャンル無節操をモットーに選んでいます。 何度も、観る度に感動する映画は大切ですが、二度と観たくない衝撃に出会うのも楽しみです。

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