『白熱』ラオール・ウォルシュ

テンポ良く、今も新鮮な70年前のギャング映画

《公開年》1949《制作国》アメリカ
《あらすじ》主人公コーディ(ジェームズ・ギャグニー)は凶暴、非道にして、父から継いだ精神障害による頭痛持ちで、おまけにマザコンというギャング。
現金輸送の列車から現金を強奪し、乗務員を殺害して逃走するが、追手が迫り、同じ日に別の場所で起こった盗難事件の犯人として自首し、嘘の供述で重罪からは逃れようと目論む。
その結果2年の懲役刑で刑務所に入るが、捜査側は刑務所に潜入捜査官ファロン(エドモンド・オブライエン)を送り込み、彼の動向と金の在りかを探らせる。
その頃コーディ不在のギャング団では、母のマーがギャング団を束ねるはずだったが、手下のエドがボスの座を狙い始め、おまけにコーディの妻バーナ(ヴァージニア・メイヨ)と密通していて、母は殺されてしまう。
母の死を知ったコーディは仲間である(?)ファロンと共に脱獄し、復讐に向かうが、マー殺害の実行犯であるバーナはその罪をエドに被せ、その結果エドは射殺されてしまう。
ギャング団のボスに戻ったコーディは、母を失い精神的に不安定になっていたが、次に石油コンビナートの給料強奪を計画し、改造したタンクローリーの中に入り工場に潜入する目論見を実行に移す。
ところが、ファロンが事前にタンクローリーに電波発信機を取り付け、それによって居場所が捜査側の知るところとなる。
工場潜入に成功したコーディたちは、金庫破りに取り掛かるが、捜査官たちが工場に到着した頃、ファロンの正体がばれ、コーディは信じていたファロンの裏切りに大きなショックを受ける。
警官隊に囲まれ、逃げ場を失ったコーディは、巨大なガスタンクによじ登り、精神の均衡が崩れたかのように笑い続け、火を噴いたガスタンクと共に壮絶な最期を遂げる。

《感想》驚いたのは、70年前とは思えない捜査能力の高さである。
捜査側が、容疑者の母親の車を尾行する際、三台の車で無線を駆使して入れ替わりながら後を追うシーン。尾行に気付かれてしまうが、こんな方法があるのかと驚いた。
次に、電波発信機を取り付けた車を追跡する方法で、おおよその範囲から正確な位置を割り出すというやり方。1キロ以上離れた2台の車で受信機の音を拾い、それぞれの拾った音の方位がクロスする地点が車の位置という。
移動している車で本当に割り出せるのかは疑問だが、理論的には凄いと思う。
テンポが良く、話の展開が巧みで、グイグイ引っ張っていく。
GPSの無い時代によく頑張っていて、技術の進んだ現代よりスピードを感じるというのも面白い。
マザコンで頭痛持ちのギャングというキャラ、それをジェームズ・ギャグニーの怪演で楽しませる、いわゆるフィルム・ノワールの古典で、ギャング映画の名作の味わいがある。
それ程の深みがある訳ではないが、このテンポは心地良く、今もって新鮮である。

※他作品には、右の「タイトル50音索引」「年代別分類」からお入りください。

投稿者: むさじー

名画座通いの昔からネット配信の現代まで、温故知新、共感第一、ジャンル無節操をモットーに選んでいます。 何度も、観る度に感動する映画は大切ですが、二度と観たくない衝撃に出会うのも楽しみです。

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