『シックス・センス』M・ナイト・シャマラン

親子の絆、夫婦の愛を描いた傑作ホラー

シックス・センス

《公開年》1999《制作国》アメリカ
《あらすじ》小児精神科医マルコム・クロウ(ブルース・ウィリス)は、これまで多くの子どもを心の病から救ってきたが、「10年前、自分を救ってくれなかった」という青年ビンセント・グレイに銃で撃たれ、ビンセントも自殺してしまう。
1年後、マルコムは妻アンナと言葉を交わすことが出来ず、悶々とした日々を送っている。
そんな折、他人に言えない秘密を隠して生きるあまり心を閉ざした、8歳の少年コール(ハーレイ・ジョエル・オスメント)に出会う。
彼の秘密は何と死者が見えること。
彼はこの秘密を母リンにも話せず、友達からも異常者扱いされて苦しんでいたが、二人は心を通わせるようになり、ついにマルコムに秘密を打ち明けた。
死者は彼に何かをさせたがると言い、ある少女の葬儀では、実は母親に毒殺されたとするビデオを少女から手渡され、父親がそれで真実を知ることになる。
死者は彼に自分の望みを叶えてもらうことで癒されるのだった。
ついにコールは悩みを克服し、母親に秘密を打ち明けたが、マルコムは妻アンナとの関係に悩んでいて、妻に新しい恋人らしき男が現れ、コールの「妻が寝ているうちに話しかけろ」という助言に基づき、居眠り中の妻にそっと話しかける。
すると寝言で「どうして私を残して行ってしまったの?」と呟く。
そのとき、彼はビンセントに撃たれたとき既に死んでいて、アンナへの思いと、ビンセントへの後悔の念が、彼をこの世に霊として引き留めていたことに気付く。
かくして全てを悟り心の傷を癒されたマルコムは、苦しみから解き放たれ天へと召されていった。



《感想》“泣けるヒューマンホラーの傑作”が謳い文句(?)だが、ラストで実際に真相が明かされ、一気に伏線の回収がなされる様はやはり興奮するし、最後まで引っ張る演出力、細かい描写へのこだわりによる破綻の無さはやはり傑作の名に値する。
冒頭、マルコムは撃たれたことで命を落とし幽霊になるが、最後まで彼が幽霊であることを伏せて物語は展開する(あらすじに「少年の能力」に触れた記述があるので、勘のいい人は早々に気づいてしまうが)。
この手の映画は、最後に振り返って「なるほど!」と納得がいけば合格だが、その点ではほぼ完璧で、むしろ二度目の鑑賞で“伏線発見”の楽しみが生まれるかも知れない。
加えて親子の絆、夫婦の愛など人間ドラマの要素を盛り込むことで、不思議な世界観を持った、膨らみのある作品に仕上がっている。
また、つい感情移入してしまうほど、少年役ハーレイ・ジョエル・オスメント君の演技が凄い。
ただ私には何故か“泣ける”ほどではなかった。良く出来過ぎているからかも知れない。

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投稿者: むさじー

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