『プレイス・イン・ザ・ハート』ロバート・ベントン

差別の中で、共に生きる弱者の絆を描く

《公開年》1984《制作国》アメリカ
《あらすじ》1935年、大恐慌時代のテキサス。保安官の夫ロイスが黒人少年に射殺され、未亡人になったエドナ(サリー・フィールド)は、二人の子どもを抱え、貯金は残り少なく、これからの暮らしに思い悩んでいた。
そこに現れたのが流れ者の黒人モーゼス(ダニー・グローヴァ―)で、手間賃の貰える仕事を懇願され、ある計画のもと彼を救うことにする。
もう一人エドナの助けとなる人物、それは義弟のウィル(ジョン・マルコヴィッチ)で、第1次世界大戦の従軍で目が見えなくなり、銀行家である実家から厄介者扱いされて、下宿することになる。
綿花栽培の経験があるモーゼスとエドナは、一家を守るため綿づくりに励むが、大竜巻の被害を受けたり、今までにない経験に戸惑う。
そして秋の綿の収穫時期を迎えると、収穫一番乗りの賞金を得るために、家族総出で昼夜の別なく働き、ウィルは一家の料理番を受け持った。
エドナは一番乗りをして、高い値段で出荷できた喜びに浸っていたが、ある夜、モーゼスがKKK団(白人至上主義団体)に襲われるという事件が起き、家族の一員であったモーゼスが家を去ることになる。
ラストの教会のシーンでは、町の人たちが一人ひとり映し出されていく。
浮気から破局寸前だった夫婦はヨリを戻し、KKK団の人たちもいて、何と町を出て行ったはずのモーゼスや亡くなったはずの夫ルイス、リンチ死した黒人少年も隣り合わせて祈りを捧げている。
「こうであったなら……」という強い願いを最後に配することで、どうしようもなかった過酷な現実に思いを巡らす静かで強烈なエンディングだった。

《感想》不況の中で孤立する未亡人、ホームレスの放浪黒人、戦争で光を失った障害者。それぞれにハンディがあり、当初は反目し合っていた三人が強い絆で結ばれ、心を通わせていくという物語。
映画解説に「家族を守り抜いた一人の女性の感動ドラマ」とあったが、少し違う気がする。「社会的弱者が、苦難に負けず、手を取り合って生きていく」ドラマの方が適切のような。
それにしても、夫を殉職で失った未亡人、戦争で失明した若者に対して社会はこんなに冷たいものなのか。まだ社会保障もなく、我が身は自分で守る意識が強いアメリカだからか。
ストーリー的には、こんな厳しい時代にうまく行きすぎ(?)と思うが、それ故に差別・迫害のシーンの恐ろしさが強烈に響いてくる。
この強いメッセージ性は、明と暗のコントラストあればこそと思える。
だが、あまり深読みせずに観ても、楽しめるヒューマンドラマである。

※他作品には、右の「タイトル50音索引」「年代別分類」からお入りください。

投稿者: むさじー

名画座通いの昔からネット配信の現代まで、温故知新、共感第一、ジャンル無節操をモットーに選んでいます。 何度も、観る度に感動する映画は大切ですが、二度と観たくない衝撃に出会うのも楽しみです。

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