『アウトレイジビヨンド』北野 武 2012

前作をキャラ、ストーリー、深みで超えた第2作

《あらすじ》関東最大の暴力団・山王会の内部抗争から5年後。加藤会長(三浦友和)と石原(加瀬亮)は政界に影響を及ぼすまでに勢力を拡大していた。この強力な影響力を警戒する警察上層部は介入を試み、片岡刑事(小日向文世)が山王会弱体化を図るため奔走する。
片岡は山王会の古参幹部・富田(中尾彬)に関西最大の暴力団・花菱会への接近を試みさせ、反加藤派と花菱会を組ませようとするが、花菱会と山王会は通じていて失敗し、富田は殺される。
次に片岡は、服役中の大友(ビートたけし)を仮出所させ、かつて抗争中に対立していた木村(中野英雄)と手を組ませて、加藤や石原と対立させるよう仕向ける。
極道に嫌気がさしている大友は消極的だったが、大友のボディガードだった木村の子分の嶋と小野が殺されたことで大友も立ち上がり、裏で花菱会の援助を受け大友と木村は山王会を追い詰める。
そして石原は大友の手で殺害され、加藤は引退して完全に山王会を追われた後、大友に殺され、山王会は力を落としていった。
しかし、木村組は加藤殺しの疑いをかけられ、木村は片岡にそそのかされた加藤の元部下に射殺されてしまう。
片岡は更に、山王会に代わって勢力を伸ばしつつある花菱会を叩こうと、木村の葬儀会場で大友に花菱会殺害をそそのかすが、片岡の魂胆を見抜いていた大友は、片岡に銃弾を撃ち込んでエンド。

《感想》第1作(’10年)では、関東の巨大暴力団・山王会会長が関東一円を支配下に置くため、傘下の組同士を争わせるよう仕向け、次々に反目と抗争を起こさせて、大友組を壊滅に追い込む。組長の大友は獄中に入るも、対立する組員に刺され、山王会も内部抗争で加藤が新組長に納まっていた。
ヤクザ社会のヒエラルキーの中で、嘘と策略にもがく中堅ヤクザの姿が描かれ、主役のない群像劇のようで、作品としてのまとまりに欠けていた。
『仁義なき戦い』のようなしっかりした脚本でなく、ギャグとバイオレンスが混在するようなエンタメ志向の映画のため、カンヌで酷評されたことも記憶に新しい。
本作はだいぶ違う。死んだかと思われた大友は帰ってきたし、第1作を伏線にしたかのように抗争はエスカレートし、狂言回しの役割でマル暴の刑事・片岡が加わり、動き回り過ぎて最後は殺されてしまうように、各人のキャラが濃くなっている。
巨大組織同士の対立を軸に、裏切りと策略に走るヤクザが描かれるのは同じだが、対立の構図とか、力関係の逆転とか、ストーリーが格段に面白くなっている。
前作に比べるとドンパチは控え目で、トーンは渋め、静かに淡々と恐怖を煽っていく感じがする。
東映実録路線と違い、“らしくない”役者を使って“らしく”見せるエンタメ世界が北野映画なので、リアリズム一辺倒で評価されては苦しい。
大企業の陰謀ごっこをヤクザ社会に置き換えてみると、より面白く深読み出来るかも知れない。

※他作品には、右の「タイトル50音索引」「年代別分類」からお入りください。

投稿者: むさじー

名画座通いの昔からネット配信の現代まで、温故知新、共感第一、ジャンル無節操をモットーに選んでいます。 何度も、観る度に感動する映画は大切ですが、二度と観たくない衝撃に出会うのも楽しみです。

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