『ミッドナイト・ラン』マーティン・ブレスト

賞金稼ぎと善良な犯罪者の過激でコミカルな逃走劇
ミッドナイト・ラン
《公開年》1988《制作国》アメリカ
《あらすじ》警察を退職し“賞金稼ぎ”をしているジャック・ウォルシュ(ロバート・デ・ニーロ)は、契約している保釈金ローン会社(保釈屋)からの依頼で、マフィアの金を横領し逃亡中の会計士ジョナサン・マデューカス通称デューク(チャールズ・グローディン)を追いかけることになる。そしてデューク逮捕に成功する。
しかし、マフィアに関わる重要証人としてFBIもデュークを追い、マフィア一味とそのボス・セラノも追い、加えてウォルシュの同業者マーヴィン・ドフラーも狙っていて、ニューヨークからロスまでの移送が、入り乱れての混戦になる。
デュークが飛行機恐怖症(これが嘘で実は操縦まで出来る!)と言い張るため、車と列車での旅になるが、途中、銃撃戦あり、カーチェイスあり、ヘリコプターを撃ち堕としたり、激流の中を逃走したり、酒場で詐欺をして、貨物列車に飛び乗ったりの逃走劇が展開する。
二人して旅するうちに、孤独なウォルシュと心優しいデュークの間に奇妙な友情の絆が生まれていく。
しかし、ついにウォルシュはFBIに、デュークはドフラーに捕まり、マフィアの手に渡ったデュークを救い出すため、ウォルシュはFBIを説得し、マフィア一味を陥れる賭けに出る。
ウォルシュはデュークから預かっていたマフィアのデータを餌にセラノを呼び出し、データとデュークの身柄交換後に、FBIがセラノを逮捕するという筋書きだったが、それがまんまと成功してしまう。
デュークを取り戻したウォルシュは、依頼主の保釈屋に「金はいらない。デュークは逃がす」と告げ、自由の身となった二人。デュークは友情の証しとして隠し持っていた金をウォルシュに差し出し、「来世でまた会おう(See you next life)」と、二人はそれぞれの道に別れていった。



《感想》警察官だったが仲間に裏切られ妻子とも別れた孤独な賞金稼ぎ、麻薬王の金を横領し、慈善事業に寄付した変わり者の会計士。賞金稼ぎは容疑者の会計士を移送することになるが、珍道中で芽生えた友情から、容疑者も自由の身に、というラストを迎える。
途中持ち金が底をついて、既に再婚している元妻に頼ったり、娘との再会に涙したり、ホロリとする家族ドラマも入る。
見せ場を心得たアクション、小気味よいテンポ、古き良き時代を感じさせる雰囲気、主演二人のウィットに富んだ会話、脇で登場する悪役も皆憎めないキャラばかり。
適度なサスペンスとアクションにコメディ要素を盛り込み、ジャンルはどこに属するか迷うが、とにかく面白く、繰り返し観たくなる映画。

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投稿者: むさじー

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