『パルプ・フィクション』クェンティン・タランティーノ

くだらない話だが、時系列シャッフルで面白さを発見

パルプ・フィクション

《公開年》1994 《制作国》アメリカ
《あらすじ》マフィアが絡んだ三つの話が、時間的流れを変えて(時系列シャッフル)描かれる。
(1)チンピラのパンプキン(ティム・ロス)と恋人がレストランで強盗騒ぎを起こす。
(2)マフィアの手下・ヴィンセント(ジョン・トラボルタ)とジュールスは若いギャング団にだまし取られたスーツケースを奪還し、彼らを射殺する。
(3)ボクサーのブッチ(ブルース・ウィリス)は、マフィアのボス・マーセルスから八百長話を持ちかけられる。
(4)マーセルスから若い妻ミア(ユマ・サーマン)の相手を頼まれたヴィンセントだが、二人の間に淡いロマンスが生まれる。
(5)ブッチは八百長を裏切り逃走する中で、追うヴィンセントを射殺する。
(6)ブッチは車で逃走中にマーセルスとバッタリ会い、争っているところを二人とも変質者に捕まり拷問を受けるが、逃げ出したブッチがマーセルスを助けて裏切りはチャラになり、ブッチは恋人とともに街を離れる(これが物語の本来のエンディング)。
(7)スーツケースを取り戻したヴィンセントたちは、ギャング団から連れ出した男を誤って殺してしまい、ザ・ウルフに助けられて死体処理をする。
(8)一件落着したヴィンセントたちがレストランで食事の途中、(1)のパンプキンらの強盗騒ぎに出くわし、二人を押さえて逃がした後、ヴィンセントらも店外へ……で映画のエンディング。



《感想》上記は映画の流れだが、物語の時系列は次のようになる。
(2)ヴィンセント→(7)→(1)パンプキン→(8)→(3)ブッチ→(5)→(6)
※ちなみに(4)ヴィンセントとミアのロマンスは物語の時系列とは無関係。
観終わってみると三つのストーリーは単純明快なのだが、それぞれのドラマの時系列を巧みに組み合わせることによって、観客に「アレッ?」と思わせ、ドラマに奥行きが生まれている。タイトル通り「くだらない話」なのだが捨て置けない。
154分という長尺で、ダラダラしたアメリカンジョークが続き、前半ダラダラ、後半はピリッとテンポ良くなるあたり計算ずくなのかと思える。
バカバカしいと言われればそれまでだが、良く練られた脚本、強烈なキャラ設定と役者力で魅せる。内容は賛否あるとして、俳優は全員が素晴らしい。
「いいじゃないの、面白ければ」と納得させられる。

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投稿者: むさじー

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