『デイジー』アンドリュー・ラウ

ピュアな殺し屋が運命の人と気づかず展開する三角関係

《公開年》2006 《制作国》韓国
《あらすじ》舞台はオランダのアムステルダム。画家の卵のヘヨン(チョン・ジヒョン)は祖父の店を手伝いながら、週末は広場で肖像画を描いていた。ある日、肖像画の客としてジョンウ(イ・ソンジェ)が現れ、ヘヨンには過去の想い出に由来する運命の人ではないかという思いが芽生える。
それは山村で絵を描いていた夏の日、丸太橋から足を滑らせて川に転落した彼女だったが、少し経つと自分のために小さな橋が架けられていて、そのお礼に誰とも分からないままデイジーの絵を橋に残したのだった。
それからしばらくして、お店に匿名でデイジーの花が届くようになり、その贈り主こそ彼であると思い込み、ジョンウもそれを否定しなかった。
本当の贈り主はプロの殺し屋パクウィ(チョン・ウソン)だった。ヘヨンに思いを寄せながらも、闇の世界に生きる彼には、このような方法でしか思いを伝えることが出来なかった。一方のジョンウにも秘密があり、彼は麻薬ルートを追う捜査官だった。そして事件が起こる。ヘヨンの前にいるジョンウに麻薬一味が接近し、それに気づいたパクウィも巻き込んで銃撃戦になり、ヘヨンは流れ弾を首に受け声を失ってしまう。
パクウィもヘヨンに近づき、ヘヨンの部屋で三人は顔を合わせ、ジョンウはヘヨンに真実を告げ去って行った。そしてジョンウは麻薬組織の裏にいる殺し屋と対峙することを決意し、パクウィにはジョンウ殺しの依頼が舞い込んだ。
殺し屋と捜査官の立場で対決するパクウィとジョンウだったが、ジョンウは(殺し屋組織の)銃撃を受けて死亡する。ヘヨンはジョンウ殺害をパクウィと疑い問い詰めるが、パクウィは置き手紙で全てを告げて、デイジーの絵を残して去り、ヘヨンはこのときパクウィこそ「運命の人」だと知った。
またしても警察と殺し屋組織の対決。刑事に銃口を向けるパクウィに向かって、声が出ないのに必死に訴えかけるヘヨンに応え、目の前に現れたパクウィだったが、殺し屋組織がパクウィを狙撃しようと銃口を向けたのに気付いたヘヨンがパクウィをかばって命を落とす。その後、ヘヨンの復讐のため殺し屋組織に一人乗り込むパクウィの姿でエンド。

《感想》ヒロインを巡る刑事と殺し屋の三角関係の恋模様、その二人の対立と心の交流が描かれる。思い込みとボタンの掛け違いで、すれ違ってしまう三人の気持ちはピュアに過ぎ、その展開はベタと言われるが、それでもやはり心に響く。落ちた川に橋を架けてくれ、デイジーの花を届けてくれたのが、実は殺し屋だと知った後のヒロインの姿には涙してしまう。
俯瞰ショットを多用したスピーディな展開と美しい田園風景の対比の中で、ラブストーリーとアクションをうまく絡み合わせた傑作。
劇場公開版以外に、殺し屋目線で描かれた「アナザーバージョン」があるが、劇場版の方がいい。ヒロインを想い続けた殺し屋の切なさより、思い違いから待ち人であることに気付かなかったヒロインの切なさの方が胸を打つ。

※他作品には、右の「タイトル50音索引」「年代別分類」からお入りください。

投稿者: むさじー

名画座通いの昔からネット配信の現代まで、温故知新、共感第一、ジャンル無節操をモットーに選んでいます。 何度も、観る度に感動する映画は大切ですが、二度と観たくない衝撃に出会うのも楽しみです。

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