『ミス・ワイフ』カン・ヒョジン 

新規さ盛り込んだ韓国製ファンタジー・ラブコメ

ミス・ワイフ

《公開年》2015 《制作国》韓国
《あらすじ》腕利きの弁護士イ・ヨヌ(オム・ジョンファ)は子どもの頃に両親を亡くし、家庭を持たず優雅な独身生活を送っている39歳。不慮の事故で生死をさまよい天国の中継所に行き着くが、
実は天井の世界のミスで寿命はまだ先であることが判明し、所長から、同じくミスで1か月早く天国へ送ってしまった女性の代わりを1か月勤めれば元に戻す、という提案を受ける。
渋々提案を受け入れたヨヌが身代わりになって目覚めた先は、地方公務員のイケメン夫ソンファン(ソン・スンホン)と二人の姉弟という家庭で、子持ち主婦の慌しい日常、ママ友との井戸端会議や内職、お金の苦労まで……今までと真逆の人生にパニックに陥るヨヌ。しかし依然として敏腕弁護士の属性を捨て切れないヨヌは突発的な行動を繰り返し、夫や子どもたちは訳も分からないまま、その変化にうろたえ始める。
夫の職場トラブル、娘のレイプ未遂事件……さまざまな事に出会い、弁護士の知識と強い女を発揮することで解決し、次第に母として妻としての幸せを感じるようになり、まるで本当の家族のような強い愛情を抱いてしまう。
そして迎えた1か月の期限、離れたくない気持ちを振り切り家族に別れを告げる。元の世界に戻って1か月、古いアルバムから父親の写真(実は天国の所長)と、ニュージーランド沖で亡くなったことを知り、ニュージーランドへ。
向かう機中、姉のいるニュージーランドへ向かうソンファン家族と隣り合わせ、偶然の巡り合わせに微笑むヨヌの姿でエンド。



《感想》「手違いの死亡」~「期限付きで他人になる契約」~「他人になっても主人公の顔が変わらない作劇」というのはファンタジーコメディによくある設定だが、本作では過去の少女期体験から形成されたドライで利己的な主人公が、仮の家族に振り回されるという体験を経ることで、慈愛あるキャラクターに変化していく家族愛と泣き笑いの物語が展開する。
家族と絆……これが韓国映画の二大キーワード。こうしたラブコメ+人情話はまさに韓国映画の独壇場、基本線は崩さないのだが、展開に新規さをどんどん盛り込んできて、その勢いに惹き込まれてしまう。面白い。

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投稿者: むさじー

映画レビューのモットーは温故知新、共感第一、良品発掘。そして、世間の評価に関係なく私が心動かされた映画だけ、それがこだわりです。やや深読みや謎解きに傾いている点はご容赦ください。 映画は広くて深い世界、未だに出会いがあり発見があります。「いやぁ~映画って本当にいいものだ」としみじみ思います。