『GONIN』石井 隆 1995 

生活苦の5人が結集して強奪、そして破滅に向かう

《あらすじ》バブル崩壊で借金を抱えたディスコのオーナー万代(佐藤浩市)は、ある夜、リストラで会社を解雇された荻原(竹中直人)に執拗にからまれる。
万代は借金取り立てに来る暴力団大越組の金庫に眠っている大金強奪を計画し仲間を探していて、美貌の青年・三屋(本木雅弘)、バーの用心棒をしている刑務所帰りの元刑事・氷頭(根津甚八)、タイ人売春婦ナミィーのヒモで、女の借金のことで大越組と揉めている組員・ジミー(椎名桔平)を仲間に引き込む。
ジミーは事務所の内部に詳しく、打ち合わせをしているとそこへ荻原が現れ、半ば強引に仲間入りし、計画は5人で実行されることになる。何とか大金を手に入れた5人だったが、荻原がナミィーのパスポートを盗んでいたことから、ナミィーと一緒にタイ逃亡を企てていたジミーを拉致、拷問する。主犯が万代らしいことを突き止めた大越らは、殺し屋の京谷(ビートたけし)らを差し向け報復を開始する。
荻原が千葉の自宅に戻ると家族は死んでいて(実は自分で惨殺していて)彼は今まで死体と話しながら生きていた精神異常者で、乗り込んできた京谷に射殺されてしまう。ジミーは殺されたナミィーの髪の毛と服を身にまとい、事務所に単身乗り込んで殺される。万代と三屋も危険が迫っていることを知り、万代の故郷・飯田に身を隠そうとするが、逃亡途中で見つかり万代が殺される。この時には万代と三屋の間に愛が芽生えていて、三屋は、既に別れた妻子を殺された氷頭とともに捨て身の覚悟で大越組を襲撃する。氷頭は命を落とすが、京谷以外は皆殺しにして逃走した三屋は、金と万代の遺骨を持って再び飯田へと長距離バスで向かう。と、そこへ京谷が現れ、バスの中で相撃ちとなり、ともに命を落としてエンド。

《感想》この映画はキャラが際立っている。万代は気が小さい策士、三屋は狂気を秘めた男相手のコールボーイで美青年、リストラされた荻原は過ぎたる家族思いの果ての狂気(この展開には驚き)、氷頭はヤクから抜けられなかった刑事のなれの果て、パンチドランカーのジミーは純愛ゆえの悲劇。以上、破滅に向かう5人以外に、殺し屋・京谷と手下の柴田(木村一八)も同性愛の関係。
乗り込んだ三屋の銃で柴田が殺され、京谷が三屋を殺すのかと思いきや、クールなはずの殺し屋・京谷はちょうど来たパトカーに逆ギレして銃を乱射するという狂乱ぶり。
パワフルで緊張感に満ちた映画。そして、全編狂気と愛があふれていて、憧れのタランティーノを超えるほどのバイオレンスぶりだった。
印象的なシーンが数多くあって記憶に残ってしまうのは、石井の画作りのうまさ、クオリティの高さ、そして若い役者たちの熱気ほとばしる演技の故だろう。
印象的な挿入歌はちあきなおみ「紅い花」。

※他作品には、右の「タイトル50音索引」「年代別分類」からお入りください。

投稿者: むさじー

名画座通いの昔からネット配信の現代まで、温故知新、共感第一、ジャンル無節操をモットーに選んでいます。 何度も、観る度に感動する映画は大切ですが、二度と観たくない衝撃に出会うのも楽しみです。

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