『国際市場で逢いましょう』ユン・ジェギュン 

戦争に翻弄された男の人生を涙と笑いで描く

《公開年》2014 《制作国》韓国
《あらすじ》幼い頃、朝鮮戦争の興南撤収作戦で父や末の妹マクスンと離れ離れになったドクス(ファン・ジョンミン)は、母と弟妹を連れて釜山の国際市場で店を出す叔母の家に身を寄せる。
家族の学費や生活費のため、63年ドイツの炭鉱に出稼ぎに行くが、看護学生ヨンジャ(キム・ユンジン)と出会い幸せな日々を送る。そこで爆発事故にあいドクスはビザ切れで単身帰国。と、それから3か月後にヨンジャがドクスを訪れて妊娠を告げ、二人は結婚する。
そして叔母の店を買い取る資金を作るため、74年には戦時下のベトナムに出稼ぎに行くが、そこで再び興南で経験したような逃げ惑う家族の姿を目にし、子どもを助けるため足に傷を受けてしまう。
平和が戻って83年、テレビ局が南北分断で生き別れになった離散家族の再会を目指す催しを開く。父と妹を探すため番組に出たドクスだったが、結局父は見つからず、妹マクスンは施設に保護され、アメリカ家庭の養子として成長し、再会を果たす。
そして今、年老いたドクスとヨンジャは釜山の港が見える丘の家で静かに会話しながらエンド。

《感想》朝鮮戦争で一家離散、家長として残された家族を守るため、激動の時代を生き抜いた男の生涯。ドイツへ、ベトナムへと出稼ぎに行くその人生とともに、韓国の戦争の惨状や復興する様も描かれ、韓国近代史としても丁寧に描かれている。
史実に沿った壮大なスケールの歴史物語、とは言うもののそこは韓流フィクション、ストーリーにご都合主義は散見されるが、セットとCGでリアリティある映像に仕上がっていて、その映像の出来はトップクラス。
また、戦争の悲惨さと並行して、どん底にある庶民の暮らしがエネルギッシュに描かれていて、そこには涙、感動、笑いが溢れていた。それらを全て詰め込んで、人間のドラマを作り上げるそのバランス感覚は凄いと思う。
二人の老けメイクを批判する声があるが、別の俳優を使ったり完璧なメイクでリアリティを出すより、あえてこの方法を選んだのではないか。不自然ではあるが、戦時下に出会った二人が、多くの苦難を乗り越え、今、つつましく平和なときを迎えている。二人の年輪、歴史を表現した老けメイク、こんなメッセージかと思った。涙を禁じ得ない感動作だった。

※他作品には、右の「タイトル50音索引」「年代別分類」からお入りください。

投稿者: むさじー

名画座通いの昔からネット配信の現代まで、温故知新、共感第一、ジャンル無節操をモットーに選んでいます。 何度も、観る度に感動する映画は大切ですが、二度と観たくない衝撃に出会うのも楽しみです。

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