『刑事ジョン・ブック / 目撃者』ピーター・ウィアー 

アーミッシュの村を舞台にしたサスペンス映画

《公開年》1985 《制作国》アメリカ
《あらすじ》ペンシルヴァニア州のアーミッシュ(アンマン派信徒)の村に住む未亡人レイチェル(ケリー・マクギリス)と6歳の息子サミュエルは旅行の乗換駅で殺人事件を目撃してしまう。
ジョン・ブック警部(ハリソン・フォード)と相棒カーターは容疑者探しにサミュエルの協力を求め、新聞記事の写真から麻薬捜査課のマクフィー刑事が犯人の一人であると気づく。マクフィーが押収した麻薬を横領している事実を掴んだジョンは、上司の副部長に捜査協力を求めるが、するとその夜にマクフィーの襲撃を受け、麻薬の横流しに上司も絡んでいることに気づく。
ジョンは母子にも危険が及ぶと思い、母子を村の農場に送り届けるが、その帰り襲撃で受けた傷が悪化し気を失う。村に医師はいないが療法師のおかげで回復する。マクフィーやその仲間はジョン探しに躍起になるが、アーミッシュは外界との接触がなく、彼らの許に身を隠しているジョンは、農場の手伝いや牛の乳搾りを手伝うなど村の生活に馴染み、レイチェルと心を通わせるようになる。そんなある日、ジョンは相棒だったカーターが殺されたことを知る。
そして町からの帰り道、チンピラにからまれた村人の態度から、彼らの非暴力主義を目の当たりにしたジョンは、我慢できずにチンピラを殴ってしまい、この事件がきっかけで居所を突き止められてしまう。やがて村にやってきたマクフィーたち仲間との死闘、レイチェルを人質にとった副部長が銃を構えたところに村人が参集し、非暴力を村人たちの無言の圧力に屈し、銃を下すのだった。ジョンとレイチェルは互いに思いを寄せ合っていたが、住む世界が違うことは分かっていて、言葉もなく別れ、ジョンは村を去った。

《感想》殺人事件の目撃者母子を守ろうとする刑事の格闘を描いたサスペンス映画だが、舞台が極めて特殊なアーミッシュの村(非暴力で前近代的な生活を営む)であることから、異文化交流的なヒューマンドラマの色合いが強い。
農耕や牧畜で自給自足の生活をし、移民当時の生活様式を守ることを基本とし、電気は風車・水車によるものだけで電話はなし、自動車は使わず馬車、禁欲的で厳しい戒律があり質素、共同体外部の異性との恋愛はNGということらしい。
ジョンとレイチェル、二人の住む世界は違い過ぎて、どちらかが自分の世界を捨てなければ結ばれることはない、そして無言の別れ。ジョンにレイチェルの義父がかける言葉「英国人に気をつけろよ」。英国人は要するによそ者、英国人である彼にかけたこの言葉は、コミュニティから出ていく彼へのはなむけ(彼を広い意味での仲間と認めた上での)の気持ちが込められていた。温かさと切なさに満ちている。

※他作品には、右の「タイトル50音索引」「年代別分類」からお入りください。

投稿者: むさじー

名画座通いの昔からネット配信の現代まで、温故知新、共感第一、ジャンル無節操をモットーに選んでいます。 何度も、観る度に感動する映画は大切ですが、二度と観たくない衝撃に出会うのも楽しみです。

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