『キャッチ・ミー・イフ・ユーキャン』S・スピルバーグ 

詐欺男と捜査官の追いかけっこ、そして友情

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

《公開年》2002 《制作国》アメリカ
《あらすじ》1963年のニューヨーク。16歳のフランク・アバグネイルJr(レオナルド・ディカプリオ)は幸せな家庭に育ったが、父親が事業に失敗し、母親は浮気に走って両親が離婚。フランクは失意のまま家出をし、町で視線を集めるパイロットを見て、金を作る策を思いつく。パイロットになりすませば偽造小切手でも怪しまれることはなかった。しかし、偽造の手口にも長けてきた頃、FBI捜査官カール・ハンラティ(トム・ハンクス)に追われることになる。
二人はホテルの部屋で鉢合わせをするが、フランクがカールを撒いてしまい、事なきを得る。そしてクリスマスの夜、フランクはFBIのオフィスで一人仕事をするカールに偽名で電話をかけ、カールも離婚して娘と離れて暮らし、互いに孤独のみであることを知る。それから後、クリスマスになると電話がかかってきた。
あるときフランクは看護婦ブレンダに恋をするが、そのときは医師に変身して病院に就職し、ブレンダの父が検事だと知ると、弁護士になりすまし法律事務所に就職する。無事婚約にこぎつけたものの、ブレンダの裏切りで、警察に空港を完全包囲される事態になるが、パイロットの変装で突破してしまう。
その後フランクは、ヨーロッパ各地で小切手詐欺を繰り返したが、ついにカールの手によって逮捕され、金庫12年の刑が確定し服役する。だが、その卓越した小切手詐欺の知識を駆使し、詐欺師逮捕に貢献したフランクは、FBI捜査官に迎えられ、カールに身元引受人になってもらい釈放される。やがてフランクは偽造防止小切手を考案し、莫大な収入を得ることになり、カールとも親しい仲が続いている。



《感想》実話に基づくというが、(どこからがホラ話か)にわかには信じ難く、ルパン三世と銭形警部の追いかけっこの如く、見事なまでのだましっぷりで驚きと笑いに包まれ、それがテンポ良く展開されるので、観客は付いていくしかない。
一方で、人間ドラマとしても見落とせない。父親の存在は自分の憧れであり目標だったが、所得の嘘を見抜かれ転落、家庭も崩壊し、社会に追い詰められたが故に社会をだまし続けるフランク。逃げて追われて逮捕された後も素直に現状を受け入れられなかったフランクだが、カールから「もう誰も追ってこない」と言われたとき、初めて自分が置かれている立場、現実を受け入れカールに協力し始める。いつの間にか信頼関係が生まれていた二人の、そして孤独な二人の背景(家族)を含めた人間ドラマになっている。

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投稿者: むさじー

映画レビューのモットーは温故知新、共感第一、良品発掘。そして、世間の評価に関係なく私が心動かされた映画だけ、それがこだわりです。やや深読みや謎解きに傾いている点はご容赦ください。 映画は広くて深い世界、未だに出会いがあり発見があります。「いやぁ~映画って本当にいいものだ」としみじみ思います。