『激戦ハート・オブ・ファイト』ダンテ・ラム 

格闘技より、不幸からの脱出に重きを置いた人間ドラマ

《公開年》2013 《制作国》香港
《あらすじ》かつてボクシングチャンピオンにまで上り詰めながら、八百長試合で追放されジムのトレーナーをしているファイ(ニック・チョン)、金持ちの息子に生まれながら、親父が破産してアル中になり、その暮らしから脱するためにMMA(総合格闘技)を目指す青年スーチー(エディ・ポン)。
それぞれ絶頂から転落し、人生のどん底にあって、そこから抜け出そうともがいている二人がジムで出会う。
ファイは、シングルマザーのクワン(メイ・ティン)の家に間借りしている。そのクワンは夫が愛人を作って家を出て、キッチンドリンカーになったせいで息子を亡くし、その悲しみから精神が不安定だったが、健気な娘シウタン(クリスタル・リー)に支えられていた。
スーチーはヤケになっている父親の暴力に閉口しながらも、父親の期待に応えたい気持ちから一念発起し、ファイの教えを受けながら、試合する姿を通して親子の距離を縮めていく。ファイはスーチーにボクシングの技術を教え、スーチーがMMA大会で勝利を重ねることによって、ファイも生きがいを取り戻していったが、スーチーが試合中にバックドロップで首から落下し重傷を負う事故が起きる。さらにテレビに映ったファイの姿を見た高利貸しがクワンの家にやってきて大乱闘になり、シウタンが負傷し、クワンは再入院する羽目になる。そこでファイは、自分の負け犬人生にケリをつけるために、重症のスーチーやクワン母娘を励ますために、MMA大会出場を決意しハードなトレーニングを開始する。そして苦戦の末、勝利してハッピーエンド。エンドロールに「ファイとクワン母娘の仲睦まじい姿」や「スーチー父子の仲直り」の映像が流れ、その後の成り行きを描いている。

《感想》単なる「総合格闘技のアクション映画」ではなかった。前科、借金、アル中、破産、トラウマ、発狂、そして親子の確執まで不幸の要素満載だが、決して暗くなり過ぎず、この複雑な人間関係を優しいタッチで丁寧に描いている。いくつものドラマが並行して描かれるわけだが、決して散漫にならず、何重にもドラマが絡み合っていく。
結論はベタと言えなくもないし、泣かせどころが見えないわけではないが、やはりウルっとしてしまう。
際立っているのが娘シウタン役のクリスタル・リー。母を想って実父を拒絶し、ファイとともに疑似家族を作っていく……健気な少女像を自然に演じている。

※他作品には、右の「タイトル50音索引」「年代別分類」からお入りください。

投稿者: むさじー

名画座通いの昔からネット配信の現代まで、温故知新、共感第一、ジャンル無節操をモットーに選んでいます。 何度も、観る度に感動する映画は大切ですが、二度と観たくない衝撃に出会うのも楽しみです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です