『マダム・イン・ニューヨーク』ガウリ・シンデー 

もっと家族に愛と敬意を、と温かく促すドラマ

《公開年》2012 《制作国》インド
《あらすじ》インドに住む専業主婦のシャシ(シュリデヴィ)は美しく心優しい良妻賢母だが、家族の中で唯一英語が話せないことが劣等感になっている。
そんなシャシのところへ、ニューヨークに住む姉から姪の結婚式準備を手伝って欲しいと頼まれ、単身ニューヨークに行くが、コーヒーの注文すらできず落ち込み、偶然目にした看板から英会話教室に通い始める。
英会話教室には、様々な国から、様々な職業の人が、それぞれの目的を持って集まっていて、仲間と助け合いながら、シャシの英語はメキメキ上達し、次第に自信を取り戻していった。
ところが、授業も残り1週間というところで、インドから家族が大挙してやってきたため、授業に出るのはままならなくなり、スマホを通して学習し、最終試験を受けることになるが、それが結婚式当日で、午前中に試験を受け、午後は結婚式ということになる。しかし当日、結婚式用のラドゥ作りに失敗し、結局試験は受けられず、結婚式が始まると、試験を終えたクラスメイトや先生がやってきた。シャシはスピーチを依頼され、英語でのスピーチを見事にやり遂げる。「結婚は対等な友情であり長い旅。家族はあなたを傷つけないし、弱みを笑わない。愛と敬意を与えてくれる」と。スピーチを聞いた先生は、シャシに最終試験の合格を告げた。内容は隣で聞いている夫へのあてつけともとれるが、危機を察した夫から「まだ愛しているか」と問われ、微笑みを交わしてエンド。

《感想》とても余韻のいい女性賛歌、家族賛歌の映画。深刻さは皆無で、インド映画にありがちなダンスや歌もなく、抑制が効いている。
物語の中で、教室に通うフランス人シェフのローランから恋心を打ち明けられるシーンがあるが、動揺はあったとしても、「私は人妻」とかわす。その後も何かと世話を焼くローランだったが、その友人に「ありがとう、自分を愛することを教えてくれて。私に自信を与えてくれて」と感謝の言葉を述べる。
特にドラマチックな展開があるわけではないが、シャシは英語を学ぶことで自らの自信をつけ、これからは態度が変わるであろう家族の驚きの声を引き出し、友達として紹介したローランの「友達らしからぬ雰囲気」を察した夫の気持ちをも変えてしまった。めでたし、めでたし。
「男が料理をするとアートになるが、女がする料理は義務」というセリフにうなずいてしまう日本男子には必見の映画。何より主演のシュリデヴィは、当時49歳というが、フランス人青年が恋心を抱くほどの典型的インド美人。結婚後休業して15年ぶりに本作で復帰したが、2018年54歳で急逝しているため本作が遺作になっている。

※他作品には、右の「タイトル50音索引」「年代別分類」からお入りください。

投稿者: むさじー

名画座通いの昔からネット配信の現代まで、温故知新、共感第一、ジャンル無節操をモットーに選んでいます。 何度も、観る度に感動する映画は大切ですが、二度と観たくない衝撃に出会うのも楽しみです。

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